- プッシュイン式の利点を最大限に -
小型化、軽量化が進み日本でも主流となっているプッシュイン端子台。今後ますます使用されるであろうプッシュイン端子台の魅力とそれを最大限活かすために押さえておくべきことを簡単にご紹介します。
目次
1. プッシュイン端子台とは
2. メリット
3. デメリット
4. フラットチューブとコンパクティングで問題解決策
1. プッシュイン端子台とは
【構造】
電線を差し込むだけで接続完了。
電線を押し込むだけで端子が開き、内部のスプリングが電線をしっかりと固定します。
【差し込む電線】
― 推奨 ―
・単線
・フェルール端子付き より線
※より線をそのまま差し込むことも可能だが、差し込む際に線の端がほつれやすくなり、電流が十分に流れず、導電性が低下したり、接触不良や故障のリスクが懸念されます。
(単線とより線)
【用途】
プッシュイン式端子台は、主に制御盤やスイッチギアなど、産業機器や自動化システムの配線に多く使われています。
・制御盤・・・主に機械やシステムの動作や制御を行うための設備です。ポンプ、モーター、HVAC(空調)などの装置や設備を制御するための操作ボタン、インジケーターランプ、計測器、リレー、タイマーなどを組み込んでいます。
・スイッチギア・・・主に電力の供給と保護を行う装置です。電流や電圧の制御を行い、過負荷や短絡が発生した際に回路を遮断することで、電気設備を保護します。主に高電圧や低電圧での電力の分配や制御に使われます。
2. メリット
簡単かつ短時間でしっかり固定 ネジの緩みに対する増し締め作業不要
- 単線やフェルール付き撚り線では、工具を使わずに電線を押し込むだけで接続
- 作業時間短縮
- 振動や衝撃に対する耐性が高く、接続をしっかり固定
- ねじ締め不要=ゆるみに対して増し締め不要
- フェルール端子接続なら、丸型圧着端子と比べ省スペースで場所を取らない
3. デメリット
- 単線やフェルール端子を接続する場合、線番を印字したマーカーチューブが脱落する恐れがある
(理由・・・端子が細いため、マーカーチューブでは抜けてしまう) - より線をそのまま差し込むと、電線がほつれたり接触不良を起こす可能性がある
(写真1)は、フェルール端子にマーカーチューブを使用した時の写真です。フェルール端子の絶縁端子部がマーカーチューブより小さいため、ずり落ちが発生します。
そのため、プッシュイン端子台に接続する際の妨げとなることに加えて、端子台と線番が重なり認識がしずらくなります。
この2つのデメリットを解消し、プッシュイン端子台の利点を最大限活かす方法がある
4. フラットチューブ と コンパクティングで問題解決策
解決策1)固定と移動が可能なフラットチューブを使い脱落を防止
線番を印字したチューブは、端子台に接続する前に電線に通し端子台に差し込みます。
フラットチューブなら、電線を差し込む前と後 両方のずり落ちを防ぐとともに、線番の向きの固定が可能です。
これは、作業者にとって快適な作業性を提供し作業効率アップに繋がります。
フラットチューブは、断面が楕円形のチューブです。
塩ビの持つ弾力性を利用し、電線を適度な力で挟み込みます。
そのため、接続端子の有無や種類に関わらず使用できます。
加えて印字面がフラットで見やすく視認性が高いです。
【フラットチューブの仕様】
- 材質・・・軟質塩化ビニル
- 耐熱温度・・・60℃
- RoHS対応
寸法(mm)/折径(r) | 4.5 | 5.0 | 6.0 | 7.0 | 8.0 | 8.5 |
適用電線サイズ(sq) | 0.5 | 0.75 | 1.25 | 2.0 | 3.5 | 5.5 |
包装単位 (m/巻) | 200 | 200 | 200 | 200 | 200 | 200 |
【購入単位】
カット品 1袋(100個入り)~ または 1巻(200M)~
[フラットチューブについて動画で確認する]
解決策2)「コンパクティング」活用によりほつれや接触不良を回避
コンパクティングとは より線の端末を加熱と加圧で長方形に固める技法 です。
ハーネスなどの端子接合に利用され、外径を小さくできるだけでなく、金属密度が高くなり電流伝導率が向上し、電力消失を軽減できます。
もちろん、フェルール端子で圧着すれば問題ありませんが、調達や用途などの問題から上記のような方法を選択される分野もございます。
▶コンパクティングの豆知識
コンパクティング技術の利用は、日本と海外の両方で広く使用されていますが、主にその利用分野と規模において違いがあります。
・日本・・・小型化、精密化が求められる自動車、エレクトロニクス、ロボット分野など、技術的に高い産業でコンパクティング技術が多く利用されています。
・海外・・・電力インフラや送電、航空宇宙産業など、より大規模で幅広い用途で多く採用される傾向にあります。大規模プロジェクトにおいてコンパクティングが使われています。