
配電盤や鉄道車両、船舶などの配線作業では、1本の配線に1つずつ「線番(せんばん)」を識別するためのマーカーチューブを取り付ける作業が発生します。多くの現場では、印字済みのマーカーチューブが番号順に整理されずに袋詰めで届き、作業者が現場で1本ずつ目的の番号を探し出してから取り付ける、という工程が当たり前になっています。
当社では、このマーカーチューブを「お客様からいただいた指示書」をもとにA4サイズの台紙にチューブそのものを貼り付けた状態で納品する対応を行っています。専用の整列シートなどの製品を使うのではなく、お客様からいただいた指示書用紙に直接貼り付けるという、シンプルかつ柔軟な方法です。今回はこの取組みの背景やメリット、実際の現場での評価について詳しくご紹介します。
1. 台紙貼り付け対応をはじめた経緯
配電盤メーカーや車両製造業界では、配線作業をスムーズに進めるための前作業を「キッティング」と呼びます。あらかじめ必要な部材を必要な順番・必要な数だけ準備しておくことで、後工程の作業者が部材を探す手間をなくす、製造業全体で広く使われている考え方です。
当社では、この「キッティング」の発想をマーカーチューブの納品に応用しました。きっかけは、鉄道車両関連のお客様向けに配線部材を納めていた際、現場の配線作業をより早く・正確に進めたいというご要望があったことです。
そこで、印字加工済みのチューブをお客様からいただいた指示書を台紙として指示書通りに並べ、チューブをその場所に直接貼り付けて納品する、という今の形にたどり着きました。専用の道具を新たに導入するのではなく、既存の指示書をそのまま「納品用台紙」に変えてしまう、という発想です。

2. メリット:現場作業者がすぐに作業に取りかかれる

この対応の最大のメリットは、現場の作業者が「探す」「並べる」工程を一切行わずに、届いてすぐ取付け作業に着手できることです。
通常であれば、下記のような工程が必要です。
1. 袋から印字済みチューブを取り出す
2. 指示書を見ながら該当する線番を1本ずつ探す
3. 取付け順に並べ直す
4. ようやく取付け作業を開始する
当社の台紙貼り付け対応では1〜3の工程が不要になります。
台紙の上から順にチューブをめくって取り、そのまま配線に取り付けていくだけで作業が完了します。
特に効果が大きいのは、同じ線番号のチューブが複数本必要な配線や似たような番号が並ぶケースです。人の目で似た数字を探す作業はミスや時間のロスにつながりやすいですが、台紙に取付け順で並べてしまえば、そもそも「探す」という工程自体が発生しません。
お客様からも「使いやすく、作業効率が上がった」「線番順に並べる必要がなく、届いたらすぐに線番取り付け作業に取りかかれる」というお声をいただいています。
3. デメリットと、それでも台紙貼り付けにこだわる理由
もちろん、この対応にはデメリットもあります。
- チューブが台紙の接着面から落下し、紛失する恐れがある:粘着力や貼り付け方によっては、運搬中の振動などでチューブが台紙から外れてしまうリスクがあります。
- チューブの印字加工・台紙への貼り付け作業自体に時間がかかる:現場での「探す手間」を当社側で巻き取っている形になるため、納品前の準備工数は通常より増加します。
しかし、こうした手間やリスクは、当社が長年のノウハウ(最適な粘着力を持つテープの選定など)によってコントロールできる範囲です。現場での作業効率化というお客様にとっての価値の方が大きいと考え、この対応を継続しています。
4. 当社に依頼するメリット
マーカーチューブの台紙貼り付け対応を当社に依頼いただくことで、お客様には次のようなメリットがあります。
- チューブ在庫やプリンタ消耗品の管理が不要:印字用のチューブや専用プリンタのインクリボンなどの消耗品管理を、当社側で一括して担います。
- 長年のノウハウを活用できる:チューブが脱落しにくい最適な粘着力のテープの選定など、台紙貼り付けに関する細かな工夫を積み重ねています。
- 人手不足の中、より付加価値の高い作業に人員を充てられる:チューブの整列や準備に時間を取られていた分、お客様側の人員は配線そのものや検査など、より専門性の高い作業に集中できます。
慢性的な人手不足が課題となっている製造業・建設業において、「準備作業の外部化」は今後ますます重要になっていくのではないでしょうか。
5. 導入事例
現在、当社では以下のような分野で本対応を導入いただいています。
- 鉄道車両・鉄道台車の配線:車両内の電装配線において、機器ごと・取付け順にマーカーチューブを台紙にまとめて納品しています。
- 船舶配線:船舶内の配線作業でも、同様の取付け順台紙貼り付け対応を行っています。
いずれの現場でも「届いてすぐ取付け作業に入れる」という点が高く評価されており、リピートでのご依頼をいただいています。

6. 市販の整列ツールとの違い
マーカーチューブを整列させるための市販の専用ツール・シート製品も存在します(メーカー各社から「マーカーチューブ整列用シート」のような製品が提供されています)。これらは作業者自身がチューブを購入後に手作業で並べて使うことを想定した「道具」です。
一方、当社の対応は専用シートを使うのではなく、お客様からの指示書をそのまま台紙として使用し、そこに印字済みのチューブを対応するよう直接貼り付けて納品するという点が大きな違いです。お客様側で整列作業を行う必要が一切なく、指示内容(機器名・線番号など)とチューブの現物が1枚の紙の上で完全に対応しているため、確認作業もしやすいという特長があります。専用製品の購入・管理コストもかからず、納品物そのものに作業準備の価値が含まれている点が、当社サービスの強みです。
7. まとめ
配線識別用のマーカーチューブを「お客様指示書順」に台紙へ貼り付けて納品する当社の対応は、もともと盤メーカー等の「キッティング」の発想を取り入れたものです。現場作業者にとっては、届いたその場から迷わず作業に取りかかれるという大きなメリットがあり、鉄道車両・船舶配線など複数の分野で導入が進んでいます。
チューブの紛失リスクや準備工数の増加といった課題はありますが、当社の長年のノウハウでカバーしながら、お客様の現場効率化に貢献しています。配線作業の省力化・効率化にお悩みの企業様は、ぜひ当社にご相談ください。
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