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インクジェットプリンタ加工で広がる配線標示材の可能性

~従来では難しかった印字に、新しい選択肢を~

はじめに

配線標示材は、電気・通信・制御盤などの現場で欠かせない部材です。ケーブルに識別用の番号や記号を印字したチューブを取り付けることで、施工やメンテナンス時の作業効率は大きく向上します。 一般的なチューブへの印字方法には、熱転写プリンタやレーザーマーキングなどがあります。しかし、多様な現場の要望に応えるためには「従来の印字方式ではどうしても難しいケース」が少なくありません。 そこで登場するのが "インクジェットプリンタ加工" です。当社では、配線標示材メーカーという立場から、この印字方式を活用し、さまざまなお客様の「困りごと」「要望」に応える提案を行っています。

1.インクジェットプリンタ加工とは

インクジェットプリンタ加工は、インクを微細な粒子として吹き付け、直接素材に印字する方法です。非接触で印字できるため、形状や材質に左右されにくいという大きなメリットがあります。 紫外線を照射してインクを硬化させるため、印字直後から乾燥が完了し、にじみやすい素材にも安定した印字が可能です。

※ 材質によってはインクが載りにくい場合があるためテスト印字必須です。

インクジェットプリンタ加工の印字のイメージ

2.従来の印字方式との比較

配線標示材に使われる代表的な印字方法を整理すると、以下のようになります。

仕組み特徴活用例
パッド印刷・シルク印刷・シルク印刷:版の網目からインクを押し出す
・パッド印刷:凹版からゴムで転写
・曲面に対応
・ロゴや模様に強い
・多色可
家電のボタン、ノベルティ、工業部品
熱転写プリンタ
(マーカー印字機)
熱でリボンのインクを溶かして転写・スピードが速い
・鮮明で安定
・配線識別の定番
チューブ、ラベル、工場配線の線番
レーザーマーキングレーザー光で削ったり変色させ刻印・高耐久性
・細かい文字も可能
・インク不要
金属部品の番号、医療機器
インクジェットプリンタ加工(UV)インクを吹き付けUVで硬化・非接触で立体物可
・フルカラー対応
・少量多品種に強い
硬いチューブ、端末キャップ、ノベルティ

3.インクジェットプリンタで可能になること

当社が提供している具体的な加工例をご紹介します。

◎硬いチューブへの印字

肉厚2.1mmのノンスキットチューブDへ印字

押さえ込みが必要な熱転写では困難な硬質チューブにも、インクジェットプリンタなら対応可能です。内径が大きくなるとチューブの肉厚が大きくなり、その分チューブが硬くなります。無理に熱転写用の印字機で印字を行うと機械自体が壊れてしまうこともあります。

◎フルカラー印字

フルカラーでロゴ・QRコード印字

視認性を高める色分けや、社名ロゴなどのカラー印字も可能です。識別性を高めるだけでなく、デザイン性を加えることができるため ブランディングにも活用できます。

◎チューブ両面への印字

太径チューブに両面印字

大径チューブ内径9.0Φ以上に両面印字が可能です。施工時にどの方向からも確認できます。

◎3段組での印字

太径チューブに3段印字

多くの情報を一度に表示でき、施工現場での確認作業がスムーズに行えます。

◎端末キャップなど段差のある素材への印字

端末キャプへの印字

高低差2mmまでの曲面であれば印字可能です。これにより、従来方式では不可能だったケースにも対応できます。

4.事例紹介

【事例1:鉄道向けマーカーチューブへのフルカラー印字】

鉄道関連の配線標示では、安全性や識別性のために情報量が求められます。通常の黒一色印字では見分けにくいケースでも、インクジェットによる フルカラー印字 によって、配線の区別が直感的に行えるようになりました。鉄道事業者様からは「保守点検時の確認がスムーズになった」と高い評価をいただいています。

太径チューブに30Φにカラー印字(インクジェットプリンタ使用)
カラー印字

【事例2:ノンスキットチューブ太径(硬質チューブ)への印字】

内側にヒダがある太径のノンスキットチューブは、硬質であるため従来の熱転写プリンタでは印字が困難でした。インクジェットでは非接触で加工できるため、鮮明な文字を刻印可能です。また、チューブ太さに合わせた幅広い印字が可能という点にも評価いただいております。

ノンスキットチューブDへインクジェットプリンタで印字
ノンスキットチューブ型番Dへの印字

【事例3:販促用ボールペンへのロゴ印字】

当社では配線標示材が主力ですが、インクジェットの強みを活かし、 "ノベルティ製作" を行いました。自社製品ロゴをボールペンにフルカラーで印字し、展示会用ノベルティとして活用いたしました。

ボールペンにロゴと社名をインクジェットプリンタで印字
配布用 ボールペンへの印字

【事例4:熱収縮チューブへの社名やブランド名、注意事項の印字】

熱収縮チューブに、社名やブランド名を印字しました。製品のケーブルに取り付けることで、ブランド名をしっかり認識してもらうとともに、製品イメージの向上にも繋がりました。また、「剥がしてはいけない」などのメッセージを印字することで消費者に安全に製品を使用していただく注意喚起としてお使いいただいたものもございます。

スミチューブにインクジェットプリンタで印字

※事例紹介の写真はイメージです。お客様情報保護の観点から実物は掲載しておりません。

5.配線標示材だけにとどまらない活用

当社は配線標示材メーカーですが、インクジェットプリンタ加工の特性を活かせば、販促グッズやノベルティ
など、チューブ以外のさまざまなアイテムにも印字対応が可能です。

  • 企業ロゴを入れたUSBメモリ
  • 社名入りのボールペン
  • アクリル製の記念品
  • 展示会用のノベルティ
  • 高級オーディオケーブルへのロゴマーキングによるブランディング

版代が不要なため、小ロットでも対応可能です。イベントやキャンペーンなど、ちょっとした場面でのオリジナルグッズ製作にもご活用いただけます。※別途、治具の製作が必要な場合もあります。

インクジェットプリンタ加工は、次のようなお客様に特に適しています。

  • 硬質チューブや大径チューブを使用しており、通常の印字機では対応が難しい方
  • 配線標示材にフルカラー多段印字・両面印字を求めている方
  • 小ロットオリジナル印字(ロゴ、シリアルナンバー等)を必要とする方
  • 販促グッズや記念品へ印字を依頼したい方

7.注意点と使い分け

もちろん、インクジェットプリンタ加工にも弱点はあります。

  • 大量ロットには不向き(スピードでは熱転写に劣る)
  • 一部の素材では、前処理や後処理が必要になる場合がある
  • 印字コストは単純なモノクロ印字に比べると高め

そのため、「大量で標準的な印字は熱転写」「特殊で付加価値の高い印字はインクジェット」という使い分けをお勧めしています。当社では、インクジェットプリンタ加工のみならず、熱転写プリンタ、レーザーマーキングなど幅広い印字方法に対応可能なため、お客様のご要望に合わせた最適な選択をご提案いたします。

8.まとめ

インクジェットプリンタ加工は、配線標示材メーカーである当社が従来の印字方法では対応できなかったニーズに応えるために導入した印字方式です。硬質チューブや端末キャップ、両面印字や多段印字、さらにはフルカラー対応など、多様な要求に柔軟に対応できます。
「通常の印字では難しい」「特別な印字がしたい」といったお悩みをお持ちの方は ぜひお気軽にご相談ください。

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