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【完全ガイド】防振グロメットの選び方とは?

グロメット(ブルー・スカイブルー・イエロー)

― 振動・騒音・衝撃トラブルを防ぐ“小さな重要部品 グロメット”の正しい選定方法 ―

電子機器、産業機械、制御盤、車載機器、医療機器など、あらゆる分野で発生する 「振動」「騒音」「衝撃」。 これらのトラブル対策として、力を発揮するのが防振グロメットです。
「ただのゴム部品では?」
「サイズが合えば何でも同じでは?」
そう思われがちなグロメットですが、選定を誤ると振動対策の効果は大きく下がり、故障・クレームの原因になります。

そのため、本記事では「グロメットとは何か」という基本的なことから、「防振対策として導入する際の選定ポイント」などを詳しく解説いたします。この記事が、防振対策で悩まれている方の一助となればとても嬉しいです。


1.防振グロメットとは?

小型ポンプにグロメットを取り付けした様子
小型ポンプ

グロメット(Grommet)とは、 主に板金や筐体の穴(貫通部・ねじ締結部)に取り付ける防振・保護部品です。

■ 主な役割

  • 振動や衝撃の伝達を低減
  • 共振(ビビリ音)の抑制
  • 振動の分離・乖離
  • 機器の保護
  • ショック、ノイズ、振動、揺動のコントール

主に装置内部の機構が起こす振動や派生的に起こるノイズの制止処理に効果的です。

2.なぜ「グロメット」が振動対策に効くのか?

■ 振動は「点」から伝わる

機械や電子機器の振動トラブルは、実は ねじ・穴・軸・貫通部といった“点接触部”から広がる ケースが大半です。

金属同士が直接接触しているこれらの部分は、
剛性が高く
振動エネルギーをそのまま次の部品へ伝えてしまう
という特徴があります。

■グロメットは「振動の通り道」を遮断する部品

防振グロメットは、この振動が集中する“点”を、減衰材(グロメット)に置き換えることで、
振動の伝達を物理的に遮断
共振を引き起こすエネルギーを減少
させる役割を果たします。

■形状そのものが振動を減らす仕組み

グロメットは「ゴムだから柔らかい=振動を減らす」だけの部品ではありません。
形状そのものが、振動を弱める役割を持っています。

"「複数の動き」がカギ "

グロメット内部では、振動が加わると次のような動きが同時に起こります。
圧縮(つぶれる動き)
振動で押されると、ゴムが上下方向につぶれます。
このとき、ゴム内部では分子同士がこすれ合い、エネルギーが消費されます。
せん断(ずれる動き)
ケーブルや配線が横方向に揺れると、グロメットは「引きちぎられるように横へずれる」動きをします。このずれが、振動エネルギーを効率よく弱めます。
局所変形(一部分だけが動く)
グロメット全体が同じように変形するのではなく、リブや縁の部分など、特定の箇所だけが細かく変形します。

これにより、
振動が一気に伝わらない
エネルギーが細かく分散される
という効果が生まれます。

つまり、グロメットは形状によって「つぶれる・ずれる・部分的に変形する」という複数の動きを同時に起こし、振動エネルギーを内部で分散・吸収します。その結果、振動は音や揺れとして増幅する前に、熱として消費されます。

■ISODAMP®材だから“揺れが残らない”

EAR社のグロメットに使われているISODAMP®(イソダンプ)材は、「一般ゴムよりもエネルギー吸収力が高く」「振動を受けた後の "戻り(反発)" が小さい」という特長があります。
これは、ISODAMPが高分子化学複合材+エラストマー系で構成されており、分子の中でエネルギーが「摩擦や内部運動」によって熱に変換されやすい構造となっています。そのため、外部に戻す(反発する)力が小さくなります。よって、振動や衝撃を受けても”跳ね返り”が少なく、機器を守る効果が高いのです。

そのため、
共振周波数でのピークが低くなる
振動が次の部品へ伝わりにくくなる
鳴き・ビビリ音が発生しにくい
といった効果が得られます。

つまり、防振グロメットが振動対策に効く理由は、下記です。
1.振動が集中する「点」に使われる部品
2.クッションと振動吸収を一体化した構造
3.剛性の段差を緩和し、共振を起こしにくくする
4.ISODAMP材により振動エネルギーを効率よく消費できる

よって、グロメットの導入は防振対策としてとても有効な手段となります。

3.防振グロメットの選定で失敗しやすいポイント

■ 多くの現場で起きがちな失敗例

・穴径だけ合わせて選んだ
・材質を意識していない
・振動の大きさや周波数を考慮していない
・板厚との相性を見ていない
・「とりあえず安いもの」を使った

その結果として、
・振動が思ったほど減らない
・数ヶ月でヘタる
・騒音が止まらない
といった問題につながります。

4.【重要】防振グロメット選定の5つのポイント

ここからが本題です。 防振グロメットを選ぶ際に必ず確認すべき5項目を解説します。

① 穴径・板厚

最初に確認すべきは下記寸法です。
・板金の穴径
・板厚
・グロメットの外径、内径、溝幅

EAR社のグロメットは、「穴径 × 板厚」が明確に規定されているため、設計段階で選びやすいのが特長です。
⇒寸法が合っていないと、防振効果以前に脱落・ズレの原因になります。

グロメット挿入方法
[取り付け方法 例]


② 振動の種類

次に重要なのがどのような振動かです。具体的には、振動の周波数を確認しましょう。
EAR社グロメットは 低周波~中周波の振動を減衰する設計がされており、 特に共振を抑える性能に優れています。

振動の種類
低周波振動モーター、ファン、回転機器
衝撃落下、輸送、起動停止
微振動精密機器、測定装置

③ 材質選定(C-1002/C-1100/C-1105)

防振性能を左右する最大の要素が材質です。
「振動が強い」「長寿命が必要」な場合ほど、材質選定が重要になります。

[主な材質と特徴]
材質最適温度範囲(℃)特徴向いている用途
C-100213~40標準グレード。柔軟で扱いやすい。電子機器、制御盤
C-110027~55中程度の硬さでバランス良好。幅広い温度で安定。車載、屋外設備
C-110535~63硬めで耐荷重性が高い。高温域でも性能維持。産業機械、精密装置

④ リブ付き/リブなしの選択

EAR社グロメットには リブ付きタイプ/リブなしタイプがあります。
リブ付き:柔らかく、防振向き
リブなし:硬く、耐荷重・耐クリープ向き
柔らかく吸収させたいか、しっかり固定したいかで選びます。

⑤ 使用環境(温度・屋内外)

最後に見落とされがちなのが環境条件です。 特に温度は、性能に大きく影響を与えます。
 □ 使用温度
 □ 屋内/屋外
 □ 油・薬品の有無
 □ 長期使用かどうか

EAR社グロメットは産業用途を前提とした耐久設計のため、 一般的なゴム製グロメットよりも信頼性が高いのが魅力です。

5.防振グロメットが活躍する業界

以下のような業界でグロメットが導入されています。
 ・産業機械メーカー
 ・制御盤メーカー
 ・電子機器メーカー など

防振グロメットは、【 小さい・安価・取付簡単 】の3拍子そろった、 振動 騒音 断線 クレーム を大きく減らせる非常にコストパフォーマンスの高い防振部品です。
導入をお考えの場合はどうぞお気軽にご連絡ください。

ここまで考え方を中心に解説しましたが、防振グロメット選定における「計算式・数値評価・データシートの読み方」については、下記【技術解説編】で詳しく解説しています。ご希望の方は引き続きご覧ください。

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【技術解説編】

グロメットの選定方法(EARイソダンプC-1000シリーズの場合)

1⃣ 用途・目的を明確にする
・「振動・衝撃・ノイズ・揺動」のどれを主にコントロールしたいかを確認する。
・取り付ける機器や部位(例:コンピューター、プリンター、医療機器、精密機器など)を明確にする。

2⃣ 必要な性能・条件を整理する
荷重(重さ):グロメット1個あたりにかかる荷重(kg)を計算(機器全体の重さ÷使用するグロメット数)する。 
 ※グロメットは最大荷重が決まっています。

取り付け方向:アキシャル(軸方向)かラジアル(放射方向)かを決める。
 アキシャル方向(軸方向)とは、回転する軸の中心線に沿って平行にかかる力の方向を指します。
 ラジアル方向とは、回転する軸に対して垂直(直角)方向、つまり半径方向にかかる向きや力のことを指します。

アキシャル ラジアル 方向説明

使用温度範囲:設置環境の温度を確認し、適した材質(C-1002, C-1105, C-1100)を選ぶ。

ISODAMP最適温度範囲(℃)デュロメーター
15秒テスト
C-1002ブルー13~4156
C-1105スカイブルー27~5563
C-1100イエロー35~6370

3⃣ グロメットのタイプを選ぶ
リブ付型:振動隔離・ショックプロテクションに最適。柔軟性が高く、共振や跳ね返りを抑制。
 ※外側にリブが付いたタイプは、タテ方向(X軸)の硬さを柔らげ、内側にリブが付いたタイプはヨコ方向(Y軸)の硬さを柔らげる
リブ無し型:スペースが限られた場所や、より硬い支持が必要な場合に適する。
寸法/形状:取り付け穴径、板厚、外径など、機器の設計に合うものを選ぶ。 スタイルの種類(対称型、対称型・エッジR付き、非対称型、剪断型)

4⃣ 性能計算・適合確認

ー振動絶縁性能の計算方法ー

まず、使用する条件における動的硬度固有振動数を求めます。
そこから、クロスオーバー周波数周波数比(Fd/Fn)伝達率(もしくは振動隔離)を求めていきます。
ひとつずつ見ていきましょう。

動的硬度とは
実際の使用条件におけるのグロメットの「硬さ」を数値化したもの(単位:lb/in)です。1インチ(約25.4mm)伸ばすのに何ポンドの力が必要かを示しています。動的硬度が高いほど変形しにくく、低いほど柔らかく変形しやすいことを表しています。
機器の重さ(荷重)でどれくらいグロメットが沈むか(変形量)がわかったり、固有振動数の計算に使用したり、そのグロメットが用途に適しているか判断する際の目安になります。

固有振動数(Fn)とは
「"グロメット+機器の組み合わせ"が自然に揺れやすい速さ(1秒間に何回揺れるか)」を表しています。固有振動数付近の周波数の振動は増幅されやすく、高い周波数の振動はグロメットがよく吸収・隔離できます。
⇒振動源の周波数と比較して「振動隔離効果が十分か」判断する材料になります。

固有振動数と振動源の周波数の関係
固有振動数の求め方

クロスオーバー周波数とは
グロメット(防振材)が振動を吸収し始める境目の周波数です。この周波数より高い振動はグロメットが効果的に吸収・隔離できるとされます。

周波数比(Fd/Fn)とは
Fd(Disturbing Frequency):「トラブルの原因となる外部からの振動の周波数」(実務上は振動源の周波数と考えてよい)をFn(Natural Frequency):「固有振動数」で割ったものです。FdがFnと一致する(周波数比=1)だと「共振」が発生して問題を引き起こします。
⇒この周波数比から振動の伝達率(もしくは振動隔離)を求めることができます。

伝達率(もしくは振動隔離)
伝達率は、振動がどれだけ伝わるかの割合のことです。伝達率が低いほど振動隔離ができている、伝達率が高いほど振動が隔離できていないことを示している。伝達率が0.3であれば、振動が30%に減る(70%隔離、良好)であることを表します。1.0より大きければ、振動が逆に増える(共振する)ことを表します。

【計算の流れ】
硬度と固有振動数の計算
(1) カタログのデータ表より「荷重係数」を確認。
 (荷重係数:その部品がどれくらいの力に耐えられるかを示す目安の数値。
(2)「1個あたりの荷重 ÷ 荷重係数」で**荷重比**を算出。
 (荷重比:その部品がどれくらい標準状態に近い使い方をされているかを示す。荷重比は0.2~0.5程度がバランスが良いとされる。小さすぎても大きすぎてもグロメットの性能を発揮できていない。
(3) カタログの特性グラフで荷重比から「硬度比」を読み取る。
 (硬度比:実際に受けている荷重の状態でどれくらい硬くなっているかを示す。荷重が小さければ、硬度比も小さく、荷重が大きければ、硬度比も大きくなる。
(4) カタログのデータ表より「硬度係数」を確認。「硬度係数×硬度比」で「グロメットの硬度」を算出。
 (ここで求められるグロメットの硬度は、今の条件でのグロメットの硬さを示す。
(5) 必要に応じてカタログの温度補正表の"温度補正係数"を掛けて、実際の使用温度での硬度を求める。
 (温度補正係数:標準温度での硬さに対して、実際の使用温度での硬さが何倍になるかを示す値。0.63なら基準温度のときの硬さの63%になるという意味。
(6) 固有振動数を計算。
 (固有振動数:その組み合わせ、その状態で自然に揺れる速さ。固有振動数Fn付近の振動の場合は増幅されてしまう=共振。固有振動数より高い周波数の振動は吸収しやすく、低い周波数は吸収しにくい。
振動隔離性能計算
(7)クロスオーバー周波数を計算。
クロスオーバー周波数:振動を吸収し始める境目の周波数。
(8)Fd/Fnで周波数比を計算。
(9)周波数比と振動隔離システムの伝達率のグラフから伝達率を読み取る。

振動絶縁性能の計算例

例)HDDの場合
1.5ポンドのHDDを4個のG-411-2グロメット(材質C-1105)で、温度38℃(100F)の環境で振動隔離する場合。
HDDに対して横揺れでアキシャル方向にグロメットがひずむ(下部 図1のY方向参照)。そこで硬度計算のためにアキシャル方向の部品のデータを使用(軸方向に取り付けられた支持部品の性能や特性データを使用)。4個のグロメットで、HDDを支える。
≪1ポンド(lb):約453.6g≫

[硬度と固有振動数の計算]
(1) 資料a.データテーブルより:荷重係数=1.8
(2) グロメット1個あたりの荷重:1.5ポンド÷4個=0.375ポンド/グロメット
  グロメット1個にかかる荷重を荷重係数で割り、荷重比を算出 0.375÷1.8=0.208
(3) 資料a.特性グラフより硬度比を読み取る:荷重比0.208は硬度比3.0
(4) 資料a.データテーブルより:硬度係数=1911ポンド/インチ
  有効な硬度は、硬度係数×硬度比:1911ポンド/インチ×3.0=5733ポンド/インチ
(5) 材質C-1105、38℃(100F)の温度補正係数を資料b.温度補正表より求める。 温度補正係数=0.63
  この条件ではグロメットの実質動的硬度:5733ポンド/インチ×0.63=3612ポンド/インチ
(6) 固有振動数Fn=3.13√(3612÷0.375)=307Hz 
 ≪固有振動数(Hz)(共振点) Fn=3.13√動的硬度(lb/in)÷グロメットにかかる荷重(lb)≫ ※1
[振動隔離性能計算]
(7)クロスオーバー周波数=√2×307=434Hz
 ≪クロスオーバー周波数 Fx=4.42√K÷W=√2Fn≫※1
Fd=コンピューターハウジングの避ける共振周波数:1000~2000(仮定)
(8)周波数比=Fd/Fn=1000Hz÷307Hz&2000Hz÷307Hz=3.25&6.5
(9)資料c. 振動隔離システムの伝達率と周波数比より、伝達率0.3~0.15(もしくは70~85%の振動隔離)。

よって、固有振動数307Hz、振動源1000Hz、周波数比3.25(防振性能70%以上)のため、防振効果は「十分にある」と判断できます。

※1. フォントの都合上"√”部分が途中で切れております。公式については、上部記載の[ 固有振動数(Fn)とは][クロスオーバー周波数とは]の欄をご確認ください。

4個のグロメットでHDDを支持
図1.
G-411 データテーブル・特性グラフ
資料a. G-411 データテーブル/特性グラフ
C-1105 温度補正表
資料b.温度補正表
資料c.振動隔離システムの伝達率

5⃣ 最終チェックと選定例
・必要な性能(耐荷重・温度・寸法)が満たされているか確認。
・実際の装置でテストし、適合性を確認することが推奨されています。

【選定フローまとめ】
1.  用途・目的を明確にする
2.  荷重・温度・寸法など条件を整理
3.  カタログから該当するグロメットタイプ・材質・サイズを選ぶ
4.  性能計算で適合を確認
5.  必要に応じて実機テストで最終判断

【注意】
グロメット以外(ブッシング、マウント等)は選定基準や性能計算方法が異なるため、**必ず「グロメット」の項目・表・図面のみを参照**してください。型番末尾の「-1, -2, -3」は材質(C-1002, C-1105, C-1100)を示します。

振動が予測される場合は、設計段階から防振材が取り付けやすいようサイズ等をリサーチしてことが重要です。

グロメットの性能把握には、今回紹介した【振動絶縁性能の計算方法】以外にも、【衝撃応答性能の計算方法】もございます。詳しくはカタログをご覧いただければと存じます。カタログをご希望の場合は、お問合せフォームより【防振グロメットの選び方のブログを見て】とご連絡ください。

本記事の内容は、EAR(E-A-R™)社が公開している製品カタログ・技術資料をもとに掲載しています。

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