産業用のコネクタで高い評価を得ているドイツ製コネクタ「MENNEKES(メネケス)」。 豊富なラインナップでさまざまな現場に対応する製品が揃っていますが、実は“接続方式”に大きな違いがあることをご存じでしょうか? 2025年現在、MENNEKESの主な接続方式は以下の4種類に分類されます。
・ネジ端子式(Screw Terminals)
・ツインコンタクト(TwinCONTACT)
・セーフコンタクト(SafeCONTACT)
・エルゴコンタクト(ErgoCONTACT)

このブログでは、ドイツMENNEKES社の公式日本代理店であり、メネケス製品を使用したさまざまな供給設備の設計を手掛けるメーカーの技術者がMENNEKESコネクタへのケーブル接続方法の仕組みや特長、作業性の違い等についてて簡単に解説いたします。配線作業の効率や安全性を高めるためにも、接続方法を理解することはとても重要です。
このブログが作業者そして、使用をご検討されている皆さまのお役に立てばとても嬉しいです。

【プロフィール】
貿易グループ マネージャー 亀田(かめだ)。
株式会社ケー・シー・シー・商会に1990年入社。
電気工事士の資格を持ち、現場での作業経験を活かしながら、お客様のニーズに応じた製品設計を手掛ける技術者。MENNEKES製品を組み込んだ冷凍コンテナ用昇圧器のほか、採血練習キット sensitiv® など、幅広い製品の設計・開発に携わる。現場の課題を的確に捉え、社会情勢を踏まえた実用的な製品開発を得意とする。
1.ネジ端子式(Screw Terminals)|伝統的で信頼性の高い方式
ネジ端子式は、最も長く使われてきた基本的な接続方式です。撚り線(よりせん)を導体端子に差し込み、ネジで締め付けて固定するというシンプルな構造です。現在も多くの工場・商業施設・インフラ設備で使われています。

【特長と仕組み】
- プラスドライバーなどを使用して導線を締める
- 2本のネジによりしっかり固定、高負荷にも耐える
- 定期的な増し締めやトルク管理が求められる
[トルク管理とは... ねじやボルトが適切な力(=トルク)で締め付けられたかを管理すること]
【メリット】
- 外部衝撃に強い
- 昔から使われている基本的な接続方法のため、接続のイメージが容易
【作業の注意点】
撚り線をそのまま差し込むと、ネジの締め付けにより導線が潰れてバラけたり、接触が不安定になることがあります。その対策として、フェルール端子 の使用が推奨されています。

[フェルール端子のメリット]
・導体が圧着されてまとまり、接続が安定する
・接触抵抗が下がり、発熱のリスクを低減できる
・再配線時も作業性が良い(より線を傷めない)
≪豆知識1≫
Q:日本の棒端子とフェルール端子は同じなのか?
A:異なります。特に棒の長さに違いがあります。フェルール端子は、日本の棒端子と比べ導電部である棒が長い傾向にあります。これにより、接触面積が広くなるため安定した通電が得られるとともに、抜け防止にもつながっています。また、フェルール端子はDIN規格に準拠しています。DIN(ディン)とは、ドイツ工業規格の略で、DIN規格はドイツだけではなくヨーロッパ全域で使用されている規格です。

【製品例】
・コネクタ AM-TOP® 2177A
・プラグ AM-TOP® 2175B
・パネルマウントソケット 2123A
・コネクタ PowerTOP XTRA 14137P など多数
2.ツインコンタクト(TwinCONTACT)|工具不要の高速接続方式
ツインコンタクトは、MENNEKESが開発したスプリング式接続方式です。 被覆を剥き直接差し込むだけで、内部のスプリングが線をしっかりと押さえて導通します。配線のスピード・作業性を重視する現場で人気。自動機器や短納期の配線工事での採用が進んでいます。

【特長と仕組み】
- 電線の被覆を剥き、導体をソケットに挿入するだけで簡単に接続できる
- 単線およびフェルール端子等にて圧着処理された電線、または超音波溶接された電線に適する
- スプリングが導線を均一な力で固定する
- 導体を外したい場合は、赤いリリースボタンを押し電線を引っ張る

【メリット】
- 熟練者でなくても安定した作業が可能
- 配線ミスやトルク不足の心配がない
- ネジ締め不要により作業スピードが大幅に向上
【製品例】
・TwinCONTACT 1343 付き壁掛けソケット
・TwinCONTACT 1791 付きパネルマウントソケット など
≪豆知識2≫
Q:なぜツイン?2本のケーブルを挿入できる仕様になっているのか?
A:分岐する際は、ネジ端子式と比べ端子台のスペースを削減できます。渡り配線を行うときに大変便利です。
3.エルゴコンタクト(ErgoCONTACT)|人間工学を取り入れた新設計
エルゴコンタクトは、作業性と安全性を重視したMENNEKESの独自技術です。 特にネジ式コネクタにおいて、高トルクでも疲れにくく、確実に締められるように設計されています。トルク管理や疲労軽減が求められる現場でじわじわ採用が増えてきていますが、全体的な導入数はまだ限定的です。

【特長と仕組み】
- 1本ネジにより固定
- ネジ部に脱落防止機構付き
- コネクタ本体に対してまっすぐドライバーをあてることができるため力が加わりやすく必要なトルクを得やすい
- 手にフィットするグリップ形状で疲労軽減
- 安定した導通と、取り付けミスの防止
【メリット】
- ネジ端子式と比べ、1つのネジで固定できるため作業時間短縮
- 部品の紛失リスクが少ない
エルゴコンタクトは、特許取得済みの技術で、繰り返し使う現場や、作業者の負担軽減が重要な設備に適しています。
【製品例】
<PowerTOP® Xtra R シリーズ>
・プラグ PowerTOP Xtra R エルゴコンタクト 13610
・プラグ PowerTOP Xtra R エルゴコンタクト 13563 など
4.セーフコンタクト(SafeCONTACT)|ネジなし、絶縁体除去不要の最先端方式
セーフコンタクトは、最新の接続技術として注目されています。 被覆を剥く必要がない画期的な接続方式です。自動化・省人化の流れに乗って今後伸びる見込みです。現時点では特定業種・新設案件での導入が中心となっています。

【特長と仕組み】
- 被覆を剥かずに電線を挿入、ドライバーを使用しスライダーを下方向に動かし接続
- スライダーを下げることで被覆が押し下げられ分離する
- 配線ミスや不良のリスクを極限まで削減
【メリット】
- 誰でも簡単に作業でき、スピードと安全性を両立
- 接触不良や振動による緩みのリスクも少ない
【製品例】
<PowerTOP® Xtra S シリーズ>
・プラグ PowerTOP Xtra S(SafeCONTACT 13521 付き)
・PowerTOP Xtra Sコネクタ(SafeCONTACT 14522付き) など
5.接続方式を比較
接続方式 | 被覆剥き | フェルール端子 | ネジの有無 | トルク管理 | 接続時の工具 | 特長 | 登場時期 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ネジ端子式 (Screw Terminals) | 必要 | 推奨 (撚り線の場合) | あり | 必要 | 必要 | 信頼性が高い定番の構造 | 不明 最も古い |
ツインコンタクト(TwinCONTACT) | 必要 | 推奨 (撚り線の場合) | なし | 不要 | 不要 | 差し込むだけで接続 | 2000年代初頭から中頃 |
エルゴコンタクト(ErgoCONTACT) | 必要 | 推奨 (撚り線の場合) | あり | 必要 | 必要 | ネジ端子式が締め付けしやすい構造へ進化 | 2020年代初期 |
セーフコンタクト (SafeCONTACT) | 不要 | 不要 | なし | 不要 | 必要 | 電線の端末処理不要 | 2020年代半ば |
≪豆知識3≫
Q:ネジ端子式と差込端子式(ツインコンタクト等)の違いを簡単に教えて
A:ネジ端子式は、ネジを締めれば確実に固定されるという安心感があり、外部衝撃にも強く、長期間の使用でも安定した接続を維持できます。一方、差込端子式(ツインコンタクト等)は、作業効率が良い反面、衝撃に弱い面や、接続の強度がネジ端子式に比べて劣る場合があるため、信頼性を高めるためには適切な設計とメンテナンスが必要となります。
最後に
MENNEKESのコネクタ製品は、性能だけでなく「配線作業のしやすさ」も重視されています。
現場のニーズに合わせて、接続方式もここまで多様化しています。”安全・速く・確実”にを極めるためには、接続に対する理解は不可欠です。お困り事ございましたら、MENNEKES 公式日本の代理店 (株)ケー・シー・シー・商会 までご連絡ください。
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